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実りの秋から、忘年会、クリスマス、そしてお正月と続く時期は、体重がとても気にかかります。体が冬支度を始める時期にも当るため、他の季節より一層、皮下脂肪がつきやすい時期と言えます。飽食の時代である現代は、ともすればカロリー過多になる傾向にあり、生活が便利になった分運動不足になりがちです。近年、特に子供の肥満が目だって増えているのが気にかかります。
●肥満とは?
体重が増えるのは、一般には食事などから摂ったエネルギー量が消費されるエネルギー量より多いためです。余ったエネルギーが皮下脂肪などの脂肪組織に変えられて、体内に蓄積されることによる現象なのです。この脂肪組織が、標準と比べて多い状態が肥満です。 肥満体型には二つのタイプがあります。ひとつは、リンゴ型肥満(内蔵脂肪型肥満)です。上半身型肥満ともいい、腹部に脂肪が多くなる肥満です。男性に多いタイプで、ウエスト÷ヒップ=0.8以上ですと、この肥満型です。高脂血症や糖尿病、高血圧になりやすい体型ですので注意が必要です。
もうひとつは、洋ナシ型肥満(皮下脂肪型肥満)です。下半身型肥満ともいい、腰や尻に脂肪が多くなる肥満です。女性に多いタイプで、健康上はあまり問題になりません。
肥満の程度を表現する尺度としては、肥満度や体格指数、体脂肪率があります。最近良く用いられる尺度は体格指数ですが、英語表記はBody
Mass Indexで、BMI と略します。BMIの求め方は次の計算式です。
BMI = 体重(kg) ÷ 身長(m) ÷ 身長(m)
BMI結果の見方は、BMI = 22を標準とし、25以上が肥満、25未満 18.5以上が普通、18.5未満がやせになります。
●肥満の症状は?
肥満している人に良く見られる症状には、腰痛や膝関節痛があります。これらは、体を支えている腰椎や膝関節に余分な負担がかかることが原因となって起こるとされます。
また、胸部や腹部、気道周辺に脂肪がつき過ぎることが原因で、充分な呼吸ができず体が酸素不足になって起こるピックウイック症候群があります。その症状としては、顔が赤みを帯び、いつもうとうとと眠そうにしている状態が上げられます。これらの症状は、肥満が解消すれば治るものです。
●肥満が問題になるのは何故?
肥満が問題になるのは、いろいろな病気を合併しやすいことが知られているからです。太っていると、何故多くの病気になりやすいのか、その因果関係の直接的な証明は充分ではありませんが、統計的には証明されています。例えば、高血圧、糖尿病、狭心症・心筋梗塞、高脂血症などの生活習慣病が代表として上げられています。その他にも、脂肪肝、胆石症、蛋白尿、多汗症、白癬症と全身症状を呈し、女性では月経異常や不妊なども起きるなど多彩です。
●肥満の治療
肥満の多くは、単なる食べ過ぎ(以下『過食』と表現)が原因で起きる単純性肥満と呼ばれるものです。その他には、少数ですが、ホルモン異常などが原因で過食が起きて肥ってしまう症候性肥満や遺伝の絡んだ肥満があります。
過食とは、摂ったエネルギー量が消費されるエネルギー量より多くなり、余ったエネルギーが脂肪組織として体内に蓄積されることを現す表現です。必ずしも食べる量が多い、『大食』が原因とは限りません。体の代謝能力や運動などによるエネルギー消費量との係わりで変わってくるのです。
単純性肥満の治療の第一は、減食です。普通の運動量で消費するエネルギー量はたいした量ではありません。例えば、15分程度のジョギングで使うエネルギーは、皮下脂肪10g相当で、体重で言うと0.01kg程度とわずかです。そのため、体重を減らすのには減食が必要となるのです。
過度の肥満に対し最も一般的に行われている減食療法は、医師や栄養士の管理指導のもと2週間ほど入院して、1日の摂取エネルギー量を1,000kcal以下に抑えるものです。
●家庭でできる減食のポイントとは
繰り返しますが、単純性肥満の治療の第一は減食です。積極的に運動を行いながら食事制限をするのがベストになります。
1日に必要なエネルギー所要量(摂取量)は、性別、年齢、身長・体重、職業や生活様式・運動量(『生活活動強度』に関係)などを参考に決めます。例えば、生活活動強度がクラスII(活動度が「やや低い」)に該当する18〜29歳の男性のエネルギー所要量は、2,300kcalになります(『公衛審第13号』)。
『日本食品標準成分表』などを参考に、有効的なメニューを組み立てて実行すると良いでしょう。
■生活活動強度
日常生活における生活動作の種類(安静、歩く、走るなど)とその所要時間から、生活活動強度のクラスをT(低い)からIV(高い)に分け、基礎代謝量との関係を現したもの。現在の国民大部分が該当するのは、クラスII(やや低い)の区分であり、クラスIII(適度)が理想・目標となる。
[減食の基本]
(1) 糖質や脂質の摂取割合を減らす。
(2) 蛋白質、ミネラル、ビタミン類は、必要量を充分に摂る。
(3) 間食や晩酌などもカロリー計算に入れる。
(4) 1日3食、腹八分目を守る。
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